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おわりのひとくちメモ おわりのひとくちメモ
2026.06.01 7.遺言

エンディングノート書いてるから遺言書いらない?——役割の違いを解説

エンディングノート書いてるから遺言書いらない?——役割の違いを解説

エンディングノート書いてるから遺言書いらない?——役割の違いを解説

「遺言書どうしようか悩んでるので、とりあえずエンディングノートから始めようと思うんですが」

相談会で、本当によくいただく一言です。

「相続をおわりに。」司法書士の尾張です。

そういう方は、エンディングノートを「遺言書の入門編・お試し版」だと思っていることが多いんです。しかし、この2つは、入門編と本編の関係ではありません。そもそも目的がまったく違う、別物です。 今日はその違いを整理します。


目次

  1. 「とりあえずエンディングノートから」——その認識、ちょっと危ういです
  2. まず決めるのは「自分が何をしたいか」
  3. 遺言書が必要なのは「ほっとくと問題が起きる人」
  4. エンディングノートが輝く場面
  5. 【体験談】疎遠だった母のエンディングノートに助けられた話
  6. 結局、どっちを書けばいい?——タイプ別の答え
  7. まとめ

「とりあえずエンディングノートから」——その認識、ちょっと危ういです

蟹江町でも、こういう相談がちょこちょこあります。

「遺言書はなかなか踏ん切りつかんでねぇ。とりあえずエンディングノートだけ書いとるもんで」

お気持ちはとてもよくわかります。文房具店でも手に入りますし、書きやすいですからね。

でも、エンディングノートは遺言書の“前段階”ではありません。階段の1段目ではなく、別の建物なんです。

ですから「エンディングノートを書いたから、遺言書はもう書かなくていい」とはなりませんし、逆に「遺言書を書くなら、エンディングノートはいらない」ともなりません。役割が違うので、必要なら両方書く、片方でいい人は片方だけ——そういう関係です。

まずはここを切り分けるところから始めましょう。


まず決めるのは「自分が何をしたいか」

順番として、書きものを選ぶ前に決めることがあります。それは——

自分が亡くなったあと、「問題を解決したい」のか、それとも「整理して伝えたいだけ」なのか。

ここで書くものが分かれます。

  • 問題を解決したい → 法的な効力が必要 → 遺言書
  • 財産や思いを整理して伝えたいだけ → 法的な効力はいらない → エンディングノート

この大前提を押さえたうえで、それぞれを見ていきます。


遺言書が必要なのは「ほっとくと問題が起きる人」

遺言書の役割は、大きく2つです。

  1. 問題を解決する——遺言書がないと、相続手続きで困ったことが起きる場合に、それを防ぐ
  2. 思いを法的に叶える——「この人に多めに」「この財産はあの子に」という気持ちを、ただ書くだけでなく、法的に“成立させる”

逆に言うと、相続人が全員元気で、仲が良くて、すんなり話がまとまる——そういうご家庭なら、遺言書はそもそも必要ありません。

問題は、ほっておくと手続きが止まる・揉める類型に当てはまる場合です。あなたのご家庭が、次のどれかに当てはまらないか見てください。

こんな方は、遺言書を考えてください

→ 自分が当てはまるか迷う方は、まず私に遺言書は必要?——相談会で一番多い質問に本音で答えますで全体像をつかんでください。

▼ここに当てはまる方は「絶対」に遺言書を▼

特に、再婚で前婚のお子さんがいる方・内縁のパートナーに残したい方・障害のあるお子さんがいる方

これらは、エンディングノートをどれだけ丁寧に書いても、1ミリも解決しません。 エンディングノートに「パートナーに財産を渡してください」と書いても、法的な効力はゼロ。法定相続人が全員でそのとおりにしてくれない限り、希望は通らないんです。

放置すれば、手続きが止まる・揉める・パートナーに何も残らない——こうなる可能性が高い類型です。ここに当てはまるなら、「とりあえずエンディングノート」では絶対に足りません。遺言書を書いてください。

ここでよくあるのが、こんな会話です。

「私、エンディングノート書いとるで大丈夫」
「失礼ですが、再婚されてますか?前の結婚でお子さんは?」
「おるけど、もう何十年も会っとらんし関係ないがね」
「いえ、そのお子さんも相続人です。エンディングノートでは、どうにもなりませんよ」

——こういうケース、本当にあります。「大丈夫」と思っている人ほど、確認が必要なんです。


エンディングノートが輝く場面

ここまで読むと「じゃあエンディングノートって意味ないの?」と思うかもしれません。とんでもない。 エンディングノートには、遺言書にはない大きな価値があります。むしろ「これは遺言書じゃない方がいい」という場面もあるんです。

① 財産の“在りか地図”になる

これが最大のメリットです。

ご家族が亡くなったとき、どこの銀行に口座があるのか、証券口座はどこか、保険はどうなっているのか——意外とわからないものです。同居していてもわかりませんし、別居ならなおさらです。

キャッシュカードや通帳が出てこなければ、預貯金の相続手続きはできません。最悪、気づかれずに放置される資産も出てきます。調べるとなれば、銀行や保険会社に一つひとつ照会をかけて…と、手間も時間もお金もかかります。

→ 口座がわからないと相続手続きがどれだけ大変かは銀行口座の相続手続きもご覧ください。

これがエンディングノートに整理されていれば、相続人は迷いません。放置される資産が減り、調べる手間が激減します。 財産の整理・整頓という点では、エンディングノートは本当に優秀です。

② 連絡先・葬儀・医療の希望を残せる

「もしものとき、誰に連絡してほしいか」「葬儀はどうしたいか」「延命治療の希望」——こうした実務的・個人的な情報は、遺言書には馴染みません。遺言書は財産や身分に関する法的な事項を書くものだからです。

その点、エンディングノートなら自由に書けます。相続人が「誰に連絡すればいいかわからない」という困りごとも、これで防げます。

③ 感謝・思いを伝えるだけなら、むしろこっちがぴったり

そして、ここが大事なところです。

「財産をどう分けるかは法律どおりでいい。揉める心配もない。ただ、お世話になった家族や周りの人に、ありがとうの気持ちだけは残したい」——

そういう方には、遺言書にする必要はありません。 むしろエンディングノートが最適です。感謝や思い出、メッセージを自由に綴れて、形式の決まりもない。法的効力が要らない“気持ちの部分”は、エンディングノートの得意分野なんです。

ただし——法的効力は「ゼロ」です

メリットを並べたうえで、限界もはっきりお伝えします。

エンディングノートに「この財産は誰々に多めに」「あの人に渡してください」と書いても、法的な効力は一切ありません。 問題解決もできませんし、分け方の希望を法的に成立させることもできません。そこは遺言書の仕事です。

「ないよりずっといい。でも、万能ではない」——これがエンディングノートの正直な立ち位置です。


【体験談】疎遠だった母のエンディングノートに助けられた話

私、尾張が実際にお手伝いしたケースです。

長く疎遠だったお母さまが亡くなり、お子さんが相続手続きをすることになりました。預貯金の口座や金庫の中身は出てきたのですが、「本当にこれで全部なのか、わからない」——これがいちばんの不安でした。

ところがお母さま、エンディングノートをきっちり書いてくれていたんです。「ここに口座がある」「保険はこれ」と。おかげで「あ、財産はここにあるんだね」とわかり、無駄に調べる手間がぐっと減って、手続きがスムーズに進みました。これはエンディングノートの大金星でした。

ただ、正直な話もしておきます。

エンディングノートは、一度書いてから亡くなるまで“最新版に更新し続ける”のが、なかなか難しいんです。銀行が合併したり、口座を変えたり、証券会社を乗り換えたり。実際、「証券口座はここ」と書いてあったので照会をかけたら「もう解約されています」ということもありました。

だからこそ、「ないよりはずっといい。でも、それだけに頼り切らない」——この距離感で付き合うのが正解だと思います。


結局、どっちを書けばいい?——タイプ別の答え

ここまでをふまえて、タイプ別にお答えします。

あなたの状況 おすすめ
相続人みんな元気・仲良し・揉める心配なし 遺言書はいらない。 エンディングノートで十分
感謝や希望を伝えたいだけ エンディングノートがぴったり
見過ごすと危ない類型(再婚×前婚子・内縁・障害子・認知症・行方不明など)に1つでも該当 エンディングノートでは無理。遺言書を
問題解決も、財産整理も、思いも全部残したい 両方書く(役割が違うので併用OK)

注意してほしいのは、「不安だから、とりあえず何か書かなきゃ」だけの理由で遺言書を書くと、かえって妙なことになる場合もある、ということです。

問題のないご家庭なら、無理に遺言書を作るより「みんな仲良くね」とエンディングノートに一言残しておくほうが、よっぽど良いこともあります。逆に、見過ごすと危ない類型の方が「エンディングノートだから大丈夫」と思い込んでいるのは、いちばん危ない。

——つまり、正解は人によって真逆なんです。


まとめ

遺言書 エンディングノート
法的効力 ある ない
問題解決 できる できない
分け方の希望を成立させる できる できない
財産の所在を整理 △(書ける) ◎ 得意
連絡先・葬儀・医療の希望 × 馴染まない ◎ 得意
感謝・思いを伝える ◎ ぴったり

エンディングノートは、遺言書の入門編ではありません。別の道具です。

「自分はどっちを書けばいいんだろう?」——その答えは、ご家庭の状況をお聞きしないとわかりません。当事務所では、心配事や親族の状況をうかがったうえで、「これは遺言書を書いたほうがいいですよ」「全然いらないですよ」と、正直にお伝えします。 必要のない方に無理にすすめることはありません。

「私の場合はどっちなの?」と思った方こそ、一度ご相談ください。


相続をおわりに。

「うちの場合はどうなんだろう?」と思ったら、まずはお気軽にご相談ください。

📞 電話:0120-542-184(平日9:00〜18:00)
📱 LINE:こちら(24時間受付・相談無料)
📧 メール:owari@shihouseto.com

蟹江町で相続のことなら、蟹江町在住司法書士の私、尾張がすぐに対応いたします。


【執筆者】
司法書士尾張由晃 司法書士法人せと事務所代表
愛知県司法書士会 登録番号:第1981号
蟹江町在住、実務歴10年以上。同じ地元民として、単なる事務作業ではない「生涯に寄り添うサポート」をお約束します。

司法書士尾張由晃のプロフィール詳細はこちら


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