疎遠・行方不明の相続人がいるなら遺言書を——手続きが止まる前にできること
「兄弟と何十年も連絡を取っていない」「子どもの一人がどこにいるかわからない」
そういう状況で相談にいらっしゃる方が、蟹江町でも少なくありません。
「相続をおわりに。」司法書士の尾張です。
遺言書を書く理由は大きく2つあります。手続きを円滑に進めること、そして「誰に何を残したいか」という想いを実現すること。今回は前者——連絡が取れない相続人がいる場合の手続き問題を、遺言書でどう解決するかをお伝えします。
目次
- 遺産分割協議は「全員合意」が必要
- 連絡が取れない相続人がいると、どうなるか
- 遺言書があれば、その人は「関係なくなる」
- 注意点——受取人が先に亡くなると振り出しに戻る
- 予備的遺言まで準備しておく
- まとめ
遺産分割協議は「全員合意」が必要
相続が発生すると、財産をどう分けるかを相続人全員で話し合います。これが遺産分割協議です。
全員の合意が必要です。 一人でも欠けると、協議は成立しません。遺産分割協議書に全員の実印が押されて初めて、手続きが動き出します。
相続人が全員連絡の取れる状況であれば問題ありません。でも、一人でも連絡が取れない方がいると、話が変わります。
連絡が取れない相続人がいると、どうなるか
疎遠で連絡先がわからない、本当に行方不明でどこにいるかもわからない——そういう場合、まずその方を探すところから始まります。
見つからなければ、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てて、その方の代わりに協議に参加してもらう必要があります。お金も時間もかかります。
具体的な手続きの流れは「相続人の一人と連絡が取れない——疎遠・住所不明・音信不通、状況別の進め方」で詳しく解説しています。
遺言書があれば、その人は「関係なくなる」
遺言書で「全財産を配偶者に相続させる」と書いておけば、遺産分割協議は不要です。
協議が不要になるということは、行方不明の相続人も関係なくなります。 遺言書の通りに財産が動くので、その方を探し出す必要も、不在者財産管理人を立てる必要もありません。
連絡が取れない相続人がいることがわかっているなら、手続きが止まる前に遺言書を書いておく。それが一番確実な対策です。
注意点——受取人が先に亡くなると振り出しに戻る
ここで一つ気をつけてほしいことがあります。
「全財産を配偶者に」という遺言書を書いていても、配偶者が先に亡くなっていた場合、その遺言書は効力を失います。無効になった部分は法定相続に戻ります。
そうなると——また行方不明の相続人を探し出して、協議に参加してもらわないといけない状況に逆戻りです。せっかく遺言書を書いたのに、同じ問題がぶり返します。
予備的遺言まで準備しておく
これを防ぐのが予備的遺言です。
「全財産を配偶者に相続させる。ただし配偶者が先に亡くなっていた場合は、長男に相続させる」——このように、受取人が先に亡くなっていた場合の次の受取人まで指定しておきます。
こうしておけば、誰が先に亡くなっても遺言書の通りに手続きが進みます。行方不明の相続人が絡む問題は、どの場面でも発生しません。
予備的遺言の考え方については「予備的遺言とは——受取人が先に亡くなったとき、遺言書はどうなる?」で詳しく解説しています。
まとめ
- 遺産分割協議は相続人全員の合意が必要。一人でも欠けると進まない
- 連絡が取れない相続人がいると、探す・不在者財産管理人を立てる手続きが必要になる
- 遺言書で「その人以外に渡す」と書いておけば、協議不要になりその人は関係なくなる
- 受取人が先に亡くなると遺言が無効になり、同じ問題がぶり返す
- 予備的遺言まで準備しておくことで、どの場面でも問題が起きない形になる
「自分の家族の中にそういう人がいる」と思い当たる方は、早めにご相談ください。
相続をおわりに。
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蟹江町で相続のことなら、蟹江町在住司法書士の私、尾張がすぐに対応いたします。
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【執筆者】
司法書士尾張由晃 司法書士法人せと事務所代表
愛知県司法書士会 登録番号:第1981号
蟹江町在住、実務歴10年以上。同じ地元民として、単なる事務作業ではない「生涯に寄り添うサポート」をお約束します。
最終更新:2026年5月27日
