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2026.04.05 その他

親が亡くなったら何をする?期限別・相続手続きのやることリスト

親が亡くなったら何をする?期限別・相続手続きのやることリスト

「親が亡くなったんですが、何から手をつければいいかわからなくて……」

ご相談の電話で、最初にこう切り出される方が一番多いです。

「相続をおわりに。」司法書士の尾張です。

ご家族を亡くされた直後は、心の整理もつかないうちに、やるべき手続きが次から次へと押し寄せてきます。
でも安心してください。相続手続きには「期限のあるもの」と「ゆっくりでいいもの」があり、本当にシビアな期限は2つだけです。

この記事では、相続手続きの全体マップとチェックリストを示したうえで、やることを期限別に整理します。


目次

  1. 相続手続きの全体マップ
  2. やることチェックリスト
  3. まず深呼吸を——慌てなくて大丈夫です
  4. なるべく早く・2週間以内にやること
  5. 3ヶ月以内に必ず決める:相続放棄するかどうか
  6. 4ヶ月以内にやること:準確定申告
  7. 10ヶ月以内の最大の山:戸籍・財産調査・遺産分割・相続税申告
  8. 遺産分割後に進めること:各種名義変更
  9. 3年以内にやること:相続登記と保険金の請求
  10. もし「健康な家族」じゃなかったら——よくある分岐
  11. 相続の相談先——司法書士・弁護士・税理士の使い分け
  12. 蟹江町で相続のご相談を受けて
  13. まとめ:これだけ持ってきてくれれば話が早い

相続手続きの全体マップ

まず全体像をお見せします。「いつまでに何を」を、ざっくりこの一枚で把握してください。

相続手続きのタイムライン

期限 やること
7日以内 死亡届の提出
2週間以内 年金停止・健康保険
各種契約の解約・名義変更
3ヶ月以内 相続放棄の判断(迷うなら期間伸長申立て)
4ヶ月以内 準確定申告(必要な場合のみ)
10ヶ月以内 戸籍・財産調査・遺産分割協議・相続税申告(必要な場合)
3年以内 相続登記・生命保険金の請求
期限なし 銀行・証券・自動車などの名義変更

3ヶ月は相続放棄の判断、10ヶ月は相続税の申告。
それ以外は、慌てなくても十分に間に合います。


やることチェックリスト

「自分のところで何が必要か」を、その場で確認できる一覧にしました。
各項目の詳細は、このあとの章で順番に解説していきます。
印刷してご家族で共有していただいたり、ご相談時にチェック済み・未チェックを教えていただけると話が早いです。

相続発生直後に行うこと

手続き 期限 窓口
死亡届の提出 7日以内(国外3ヶ月) 死亡地・本籍地・届出人住所地の市区町村
年金受給停止の手続き すみやかに 年金事務所・街角の年金相談センター
健康保険証の返却 国保14日/健保5日以内 市区町村/勤務先
世帯主の変更届 14日以内 市区町村役場
国民健康保険の加入 14日以内 市区町村役場

財産を引き継ぐ手続き

手続き 期限・時期 窓口
相続人の確定(戸籍謄本収集) すみやかに 市区町村役場・司法書士
遺言書の検認・開封 すみやかに 家庭裁判所・司法書士
遺産分割協議 すみやかに 相続人全員・司法書士
預金・株式等の名義変更・解約 協議後 金融機関・証券会社
不動産の相続登記 3年以内(協議後) 法務局・司法書士
貸金庫の開扉・解約 すみやかに 金融機関・司法書士
自動車の名義変更 協議後 運輸支局・自動車検査登録事務所
自動車保険の解約・名義変更 協議後 保険会社
ゴルフ会員権の名義変更 協議後 ゴルフ場

受け取る手続き(請求漏れに注意)

手続き 期限 窓口
死亡保険金の請求 死亡日翌日から3年 保険会社
保険の契約者変更 協議後 保険会社
遺族年金の請求 死亡日翌日から5年 市区町村・年金事務所
葬祭費・埋葬費の請求 葬儀の翌日から2年 市区町村・健康保険組合
高額療養費の請求 診療月翌月から2年 市区町村の国保窓口
死亡退職金の請求 すみやかに 勤務先

生活関連の手続き

引き継ぐ手続き

手続き 期限 窓口
公共料金の引落し口座変更 すみやかに 電力・水道・ガス・金融機関
電気・水道・ガスの使用者の名義変更 すみやかに 各事業者
NHK受信料契約の名義変更 すみやかに NHK
電話の名義変更・加入権承継 すみやかに 電話会社

やめる手続き

手続き 期限 窓口
クレジットカードの解約 すみやかに カード会社
パスポートの失効手続き すみやかに 都道府県の申請窓口
携帯電話・プロバイダー・介護サービス等の解約 すみやかに 各サービス契約先
運転免許証の返納 すみやかに 警察署

税金

手続き 期限 窓口
所得税の準確定申告 知った日の翌日から4ヶ月以内 税務署・税理士
相続税の申告 知った日の翌日から10ヶ月以内 税務署・税理士

※「これは済んだ/これはまだ」がわかるとご相談時の段取りが早くなります。わからない欄があっても全く構いません


まず深呼吸を——慌てなくて大丈夫です

チェックリストを見て「うわ、こんなにあるのか……」とパニックになっている方も多いと思います。
でも、ご相談に来られる方の進捗を確認していくと、葬儀・年金停止・健康保険・公共料金の解約あたりは、もうだいたい済んでいる方がほとんどです。
本当に何もしていない方は、実はそれほどいません。

残るのは、ざっくり3つだけです。

  • 登記(不動産の名義変更)
  • 税務(相続税の申告が必要かどうか)
  • 協議書(誰が何を取得するかの書面化)

この3つは、時間をかけて進めても大丈夫な手続きです。
シビアな期限は「3ヶ月(相続放棄)」と「10ヶ月(相続税)」の2つだけ。
あとは順番に片付けていけば必ず終わります。


なるべく早く・2週間以内にやること

亡くなった直後にやることは、大きく2つです。
「行政への届出・停止手続き」と「民間企業との契約解約」です。

まず7日以内に:死亡届の提出

死亡届は、死亡を知った日から7日以内に提出する義務があります(戸籍法第86条)。
病院で受け取った死亡診断書と合わせて、市区町村の窓口に提出します。
死亡届を提出すると、同時に火葬許可証も発行されます。

提出できる窓口は、被相続人の本籍地・死亡地・届出人の所在地のいずれかです。
蟹江町の場合は、蟹江町役場で手続きできます。

年金・健康保険・介護保険などの停止手続き

死亡届が受理されると自動的に処理されるものもありますが、以下は別途届出が必要です。

  • 年金の受給停止(日本年金機構または最寄りの年金事務所)
  • 健康保険の資格喪失届(国民健康保険は市区町村窓口。会社員だった場合は会社経由)
  • 介護保険証の返却(市区町村窓口)
  • 世帯主変更届(亡くなった方が世帯主だった場合)

特に年金は早めに動くことをおすすめします。
亡くなった後も年金が振り込まれ続けてしまうと、忘れていると不正受給扱いになります。
返還手続きは煩雑で面倒なので、忘れずに届け出ましょう。

これらの手続きは、できれば一日でまとめて回ってしまうのがおすすめです。
平日の昼間しか対応していない窓口がほとんどなので、やることをリスト化してから一気に動くと効率的です。

速やかに:各種契約の解約・名義変更

役所の手続きと並行して、民間の契約関係も整理が必要です。
法律上の期限はありませんが、放置すると月々の料金や年会費が発生し続けるため、早めに進めておきましょう。

  • クレジットカードの解約(各カード会社のカスタマーセンター)
  • 携帯電話の解約または名義変更(各キャリアのショップまたは電話窓口)
  • 公共料金(電気・ガス・水道)の解約または名義変更(各事業者窓口)
  • NHK・新聞・定期購読などの解約(各事業者)
  • 家賃・駐車場などの賃貸契約の解約(管理会社や大家)

亡くなった方が一人暮らしだった場合は、光熱費や家賃といった固定費が特に大きくなりやすいので注意しましょう。


3ヶ月以内に必ず決める:相続放棄するかどうか

ここが最初のシビアな期限です。
相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に決めなければなりません(民法第915条第1項)。

「相続放棄」と「遺産分割でもらわない」はまったく別物

「私は相続放棄した」という言葉をよく聞きますが、
法律上の「相続放棄」と「遺産分割協議でもらわない」は、まったく別の制度です。

法律上の相続放棄は、家庭裁判所に申述することで、最初から相続人ではなかったものとみなされる手続きです(民法第939条)。
プラスの財産もマイナスの財産(借金)も、すべて引き継がなくなります。

一方、遺産分割協議でもらわない場合は、相続人としての地位はそのままです。
「この財産はいらない」と全員で合意しただけなので、プラスの財産はもらわなくても、借金などのマイナスの財産は引き継いでしまいます。

被相続人に多額の借金があった場合、「遺産分割でもらわなかった」だけでは不十分です。
きちんと家庭裁判所で相続放棄の申述をする必要があります。

→ 相続放棄の判断・3つの選択肢(単純承認・限定承認・放棄)の詳細はこちらの記事をご覧ください。

預金には絶対に手をつけない——「単純承認」の落とし穴

ネット上で「親が死んだら口座が凍結される!早く引き出しておけ!」という情報を見かけることがあります。
これは非常に危険なアドバイスなので、ここで正確にお伝えしておきます。

まず前提として、銀行はこちらから連絡しない限り名義人の死亡を知りません。
死亡届は市区町村に提出するもので、銀行に通知される仕組みはありません。
口座が凍結されるのは、家族や弁護士・司法書士から銀行に連絡が入ったときです。

では「急いで引き出せばいいのでは?」というと、そうではありません。
亡くなった方の財産に手をつけると「単純承認」(民法第921条)と扱われ、相続放棄ができなくなります。

具体的には、以下のような行動が単純承認とみなされる可能性があります。

  • 被相続人の預金を引き出して使った
  • 遺産の一部を受け取った・処分した
  • 借金の返済を代わりに行った

「とりあえず親の口座からお金を出しておこう」と動いてしまう方が時々いらっしゃいますが、これが一番怖い。
もし後から多額の借金が発覚しても、すでに財産に手をつけていると、もう放棄できません。
さらに、亡くなった後に引き出したお金は遺産の一部として扱われるので、遺産分割協議や相続税申告の際にも「死後に出金した金額」が問題になり、他の相続人や税務署とのトラブルの種になります。

相続放棄の可能性が少しでもあるうちは——いや、可能性が無くても——亡くなった方の財産には手をつけないでください。
口座の解約・名義変更は、遺産分割協議が整ってから、正規の手続きで進めるのが正解です。

借金があるかどうか——信用情報機関への照会

「借金がどれくらいあるかわからない」という場合は、信用情報機関への照会で借入状況を確認できます。

  • CIC(クレジットカード・信販系)
  • JICC(消費者金融系)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)(銀行系)

法定相続人であれば本人申請が可能です。司法書士や弁護士が代理で照会することもできます。

→ 借金の調査・債務の相続・信用情報機関の照会方法の詳細はこちらの記事をご覧ください。

3ヶ月で間に合わなさそうなら「期間伸長」の申立て

実務上、プラスの財産が多いか・借金がはっきりしないケースが一番大変です。
信用情報機関の返事は意外と時間がかかり、3機関分そろうのを待っているうちに2ヶ月くらいあっという間に過ぎます。

3ヶ月で判断が間に合いそうにない場合は、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」の申立てができます(民法第915条第1項但書)。
当事務所でも、この申立てをお手伝いした事例は何度もあります。

「とりあえず3ヶ月以内に何とかしないと」と焦って手を出してしまうのが一番まずい。
判断に迷ったら、放棄するかどうかより先に「期間を伸ばす」選択肢を覚えておいてください。

なお、当事務所では「放棄するかどうか」をこちらから決めることはしません。
放棄を勧めることも、止めることもありません。
ご相続人ご自身が判断できるよう、必要な情報を整理してお渡しするのが私たちの役目です。


4ヶ月以内にやること:準確定申告

亡くなった方に所得があった場合、
相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に「準確定申告」が必要になります
(所得税法第124条・第125条)。

準確定申告とは、亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得を、相続人がまとめて申告する手続きです。

ただし、全員に必要なわけではありません。
一般的なケース(年金生活者・給与所得者で確定申告義務がなかった方)では、不要なことがほとんどです。
必要になるのは、相続税が発生するくらいの資産家のケースが大半で、その場合は税理士と協調して進めることになります。

「うちの親は確定申告が必要だったかな?」と思ったら、まずご相談ください。
当事務所でも提携税理士をご紹介できます。


10ヶ月以内の最大の山:戸籍・財産調査・遺産分割・相続税申告

相続手続きの中で最も「やることが多い」のがこの10ヶ月です。
順番としては、①戸籍・財産の調査 → ②遺産分割協議 → ③相続税申告(必要な場合)という流れになります。

まず戸籍を集める——「法定相続情報証明制度」が劇的にラクです

各所での相続手続きを進めるには、必ず「亡くなった方の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本」と「相続人全員の戸籍謄本」のセットを提出する必要があります。

手続き先が複数あると、分厚い戸籍の束をあっちの銀行・こっちの法務局……と何度も出し直さなければなりません。
金融機関で戸籍のチェックをしてもらうだけで1時間〜1時間半かかることがざらにあります。
戸籍読みは慣れていないと時間がかかりますし、戸籍が何十ページにもなることも珍しくありません。

そこでおすすめなのが、「法定相続情報証明制度」です。
一度、法務局に戸籍一式と家系図のような一覧図を提出して確認を受けると、
法務局の認証印が入った「法定相続情報一覧図」を必要な枚数だけ無料で発行してもらえます。

これがあれば、以降の手続きは分厚い戸籍の束の代わりに、ペラ1枚の一覧図を出すだけで済みます。
戸籍のつながりは法務局がすでに確認してくれているので、金融機関で1時間も待たされません。

最近は金融機関のほうから「法定相続情報を持ってきてください」とデフォルトで求められるケースが増えています。
ほふり(証券保管振替機構)への照会では、法定相続情報を使うと5,500円ほど費用が安くなる特典もあります。

複数の銀行・証券会社で同時並行で相続手続きを進める場合、戸籍を2セット・3セットと取り寄せると追加で1〜2万円かかってしまうので、
法定相続情報を1枚作っておくほうが断然お得です。

「戸籍をあちこちから取り寄せるのが面倒」「一覧図の作成まで全部任せたい」という場合は、司法書士が代理で取得・作成できます。気になる場合はご相談ください。

→ 法定相続情報一覧図の使いどころ・向かないケースはこちらの記事で詳しく解説しています。

豆知識:「死亡届」と「戸籍謄本」は別物

「手続きに死亡届の写しを持ってきました」とご相談時にお持ちになる方がいますが、
死亡届はとてもデリケートな書類なので、できるだけお持ちにならないでください。

なぜかというと、死亡届に添付された死亡診断書には「死因」が書かれているからです。
病死ならまだしも、病死以外の死因の場合、ご本人やご家族にとっては触れられたくない情報です。

相続手続きで使うのは「死亡の記載が入った戸籍謄本(全部事項証明書)」のほうです。
戸籍謄本には死亡の日付しか記載されないので、死因のようなデリケートな情報が他の手続きに回らない仕組みになっています。
戸籍はこちらでも取りますので、わざわざ用意していただかなくても大丈夫です。

なお、死亡届を提出してから戸籍に反映されるまで、数日〜1週間程度かかります。

→ 戸籍の集め方の詳細はこちらの記事をご覧ください。

相続税がかかるかどうかを見極める:基礎控除額

相続税には「基礎控除」があり、遺産の総額がこの金額以下であれば申告不要です。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数(相続税法第15条)

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人なら、
基礎控除は 3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円です。

ご相談時には、まずこの計算式で「超えそうかどうか」をその場で確認します。
超えそうであれば、その時点で提携税理士をご紹介します。
超えなさそうであれば、相続税については特にやることはありません。

財産を洗い出す4つの方法

「どんな財産があるかわからない」という場合、以下の方法で調査を進めます。

① 預貯金口座の調査(通帳・キャッシュカード+預貯金口座付番制度)

まずは手元にある通帳・キャッシュカードを確認するのが基本です。
ただし、相続税申告では過去5年分の取引履歴が必要になるため、口座が判明していても取引履歴の照会を別途行う必要があります。

現在は「預貯金口座付番制度」もあります。
口座にマイナンバーを紐づけておくことで、相続が発生した際に相続人が付番済みの口座を照会できる仕組みです(デジタル庁)。
ただしマイナンバーとの紐づけは任意で、紐づけていない口座は照会に出てきません。
現状はまだ浸透が進んでいないので、結局は通帳・キャッシュカードを探すか、心当たりのある金融機関に直接問い合わせるのが現実的です。

→ 銀行口座の相続手続き・取引履歴の取り寄せの詳細はこちらの記事をご覧ください。

② 生命保険契約照会制度(生命保険協会)

生命保険の加入状況がわからない場合、生命保険協会に照会することで加入保険会社を確認できます。
費用はWEB申請6,000円・書面申請7,000円で、法定相続人であれば申請可能です。

→ 生命保険金と相続の詳細はこちらの記事をご覧ください。

③ 証券口座の調査(各証券会社またはほふりへの照会)

口座のある証券会社がわかっているなら、直接その証券会社に照会するのが最も速い方法です。
不明な場合はほふり(日本証券保管振替機構)に照会することで、口座のある証券会社名を特定できます。
ただし回答には約1ヶ月かかります。

特にネット証券は紙の書類が届かないことが多く、家族が口座の存在に気づかないケースが少なくありません。

④ 不動産の調査(名寄帳・所有不動産記録証明制度)

不動産がどこにあるかを調べる方法は、主に2つです。

所在の自治体がわかる場合:名寄帳
その自治体の税務課で「名寄帳(なよせちょう)」を取得します。
固定資産税には「免税点」があり、課税標準額が土地30万円・建物20万円未満の場合は課税されません。
つまり、固定資産税の請求が来ていなくても、不動産がある場合があります。
蟹江町では小さな農地や古い物置がひっそり残っているケースもあるため、念のため名寄帳で確認しましょう。

どこにあるかわからない場合:所有不動産記録証明制度
2026年2月2日から始まった制度で、法務局に申請することで被相続人が登記上の名義人となっている不動産を全国横断で取得できます。

遺産分割協議——書面で進めるのが普通です

財産の全体像が見えてきたら、誰が何を相続するかを相続人全員で決めます。
これを「遺産分割協議」といいます。

「みんなで集まって話さなきゃいけませんか?」と聞かれることが多いのですが、
集まらなくても全然大丈夫です。
遠方の方はもちろんですが、近くにお住まいでも、書面でやり取りで進めるのが普通です。
わざわざ集まるのは大変ですからね。

協議書は誰が作ってもOKです。相続人ご自身でも、司法書士でも、弁護士でもかまいません。
銀行の相続手続き書類にも遺産分割協議書の機能はありますが、金融機関ごと・法務局ごとに毎回記入と押印が必要になるため、
全部まとめた1枚の協議書を作っておくほうが圧倒的に便利です。

→ 遺産分割の方法・進め方の詳細はこちらの記事をご覧ください。

遺産分割協議は、押印をもらうまで確定しません

相続のご相談で一番気をつけたいのが、このパターンです。

  • 事前に「協議は大丈夫、みんなOKって言ってます」と聞いて協議書を作成
  • いざ送ったら押印してもらえない
  • 実は、納得していなかったけど話を合わせていただけ
  • 現実に「分割する=損をする」となると、やっぱり嫌だった

遺産分割協議は、相続人全員の実印と印鑑証明書がそろって初めて確定します。
口頭で「OK」と言っただけでは、まだ何も成立していません。
押印の段になって急に動かなくなる、というのは現場でよくあります。
こうなると、司法書士費用も弁護士費用も両方かかってしまうことになります。

これを防ぐ流れはこうです。

  1. まずご相談に来ていただく——家族の状況・財産の概要を整理します
  2. その情報をご家族に伝えて、もう一度本気で話してみていただく
    →「司法書士に聞いてきたんだけど、こういう話だったよ。みんな本当のところどう考えてる?」と切り出していただく感じです
  3. 本音の話し合いを経て、もう一度ご相談を
    →「この内容で書類を作りますけど、本当に大丈夫ですか?」と確認
  4. それから書類作成へ

「先に話し合いを済ませてから来てね」ではなくて、「相談に来てから家族会議をしてね」という順序です。
司法書士からの情報・リスク説明を持って帰ってもらうほうが、家族会議は深まります。

相続税の申告——税理士への早期相談がカギ

基礎控除を超えるかどうかの確認も含めて、早めに税理士に相談することをおすすめします。
税額の計算・申告は税理士の業務範囲です。当事務所でも提携税理士をご紹介できますので、お気軽にご相談ください。


遺産分割後に進めること:各種名義変更

遺産分割協議が完了したら、協議内容に従って各財産の名義変更を進めます。
法律上の期限はありませんが、放置するほど手続きが複雑・煩雑になる傾向があります。
協議が終わったらなるべく早めに動き始めることをおすすめします。

  • 銀行・証券口座の解約・名義変更(各金融機関の窓口)
  • 自動車の名義変更(陸運局)
  • 株式・投資信託の移管(証券会社)
  • その他(ゴルフ会員権・農協出資金・社債など)

それぞれ必要書類や手続き先が異なります。
金融機関によっては、手続き完了まで数ヶ月かかるケースもあります。


3年以内にやること:相続登記と保険金の請求

相続登記は3年以内が義務

不動産を相続した場合、
相続登記は相続を知った日から3年以内に申請する義務があります。
正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になります。

義務化されてからは、ご相談が少しずつ増えています
劇的に増えたというよりは、ジワジワ増えてきた印象です。
特に大きいのは、「経済的なメリットがなくても、義務だからやらなきゃ」という空気が広がったこと。
以前は「とりあえず放置でいいか」とされていた田舎の小さな土地や古い建物にも、登記の依頼が入るようになりました。

→ 相続登記の義務化・期限・罰則の詳細はこちらの記事をご覧ください。

「相続人申告登記」という応急措置もありますが……

3年の期限に間に合わなさそうなときの応急措置として、「相続人申告登記」という制度があります。
「私はこの不動産の相続人です」と法務局に申告するだけで、ひとまず登記義務を果たしたことにできる仕組みです。

ただ、当事務所ではほとんどお勧めしていません。
最終的にはどのみち相続登記(本登記)をやり直す必要があり、二度手間になるからです。
相続登記までできる状況なら、最初から本登記をしてしまうほうが早いんです。
何らかの事情で本登記が難しい場合だけ、選択肢として検討する形になります。

生命保険金の請求——約款上は3年が目安

生命保険の死亡保険金は、多くの保険会社の約款で請求期限を3年としているケースが多いです
(保険法第95条でも消滅時効は3年と定められています)。

「3年を過ぎても払ってもらえた」というケースも聞きますが、約款上の期限は意識しておきましょう。
保険証券が見当たらない場合は、前述の「生命保険契約照会制度」で確認できます。


もし「健康な家族」じゃなかったら——よくある分岐

ここまでは、「ご家族全員が元気で意思能力があり、遺言書もない」という標準的なケースを前提に書いてきました。
でも実際のご相談では、次のような分岐が出てくることがよくあります。

遺言書の有無による手続きの分岐

状況 対応
遺言書あり(公正証書・法務局保管) そのまま相続手続きへ
遺言書あり(自筆証書・保管制度なし) 家庭裁判所で検認 → 相続手続きへ
遺言書なし・全員意思能力あり 通常の遺産分割協議へ
遺言書なし・認知症など意思能力なし 成年後見人の選任が必要
遺言書なし・連絡が取れない相続人がいる 住民票確認・不在者財産管理人の申立て

① 遺言書が見つかったケース

「親の遺言書がありました」というご相談は珍しくありません。
最初に確認するのは遺言書の種類と内容です。

  • 公正証書遺言・法務局保管の自筆証書遺言 → そのまま相続手続きを進められます
  • 法務局に保管していない自筆証書遺言家庭裁判所での検認が必要です。検認前に開封しないでください

→ 遺言書を見つけたときの対応はこちらの記事、検認の流れは遺言書の種類と選び方の記事をご覧ください。

② 相続人の中に認知症の方がいるケース

「実は母が認知症で……」と途中で出てくることがあります。
判断能力の程度によって対応が変わります。

  • 明らかに意思能力がない(会話も難しい等)成年後見人の選任を申立てる必要があります
  • 微妙な場合 → まずお会いしてみないとわかりません。一度面談の時間をいただきます

成年後見人を立てると、本人が亡くなるまで制度が続くなど、知っておくべき注意点があります。

→ 認知症の相続人がいる場合の詳細はこちらの記事をご覧ください。

③ 連絡の取れない相続人がいるケース

「兄と10年連絡を取っていなくて……」というご相談もあります。
当事務所では、こんな順序で対応します。

  1. 住民票で現住所を確認——連絡が取れなくても、住民票上の住所に住んでいれば現住所はわかります。司法書士は業務上、戸籍や住民票を取り寄せることが認められていますので、こちらでお調べします
  2. お尋ねの手紙を送付——状況を説明し、協議のお願いを伝えます
  3. 反応がなければ、不在者財産管理人の選任申立てか訴訟へ——最後の手段です

時間も費用もかかるので、手続きの放置で連絡先がわからなくなる前に動くのが一番です。

④ 数次相続——「父の相続と思ったら祖父名義のままだった」

「父の相続をお願いします」と来られた方の話を聞くと、
実は祖父名義のままだったということもよくあります。
これを「数次相続」といい、関係者・必要書類が一気に増えます。
相続のたびに登記をしてこなかった蟹江町の旧家ではよく見るパターンです。

→ 数次相続の詳細はこちらの記事をご覧ください。


相続の相談先——司法書士・弁護士・税理士の使い分け

「相続のときって誰に頼めばいいんですか?」もよく聞かれます。
ざっくりの守備範囲はこちらです。

士業 守備範囲
司法書士 相続登記・遺産分割協議書・戸籍収集・全体の交通整理
税理士 相続税の申告(基礎控除を超える場合)
弁護士 相続人間で揉めている場合の代理交渉・調停・訴訟
行政書士 相続関係書類の作成(不動産が絡まない場合)

結論:迷ったらまず司法書士へ

不動産が絡まない場合は他の選択肢もありますが、蟹江町は持ち家率が高いので、相続でも不動産が絡むケースが多いです。
そして、司法書士に来ていただければ、必要に応じて税理士・弁護士をこちらから紹介できます。
最初の交通整理役として、司法書士をご活用ください。

相談先の使い分け

まず司法書士に相談
基礎控除を超えそうな場合 税理士をご紹介
相続人間で揉めそうな場合 弁護士をご紹介
✅ それ以外のほとんどのケース → 司法書士で完結

蟹江町で相続のご相談を受けて

最後に、蟹江町で相続のご相談を受けるなかで感じる「地元色」を少し。

蟹江町役場は戸籍の発行が早い

これは事務所に来られる方からよく聞く話です。
蟹江町役場の戸籍窓口は、空いている時間帯が多くて、発行がパパっと出ます。
名古屋の区役所だと戸籍の取得に1時間〜、ご両親の出生から死亡までの戸籍を集めようとすると2〜3時間かかることもザラ。
それに比べると、蟹江町は格段にスムーズです。

令和6年3月から始まった戸籍の広域交付制度も、自治体によって温度感が違います。
東京の自治体だと「請求しても2〜3日かかる」「その場では出せない、自治体に直接請求してください」と体よく断られることもあるそうです。
名古屋の区役所でも「朝請求して夕方に取得」というスピード感ですが、蟹江町ならもっと早いと思います。

ご相談者の半分は「ご紹介」、半分は「新しく蟹江に来られた方」

蟹江町は、昔から住んでいる方と、名古屋のベッドタウンとして近年越してこられた方が混在している町です。

昔からお住まいの方は、ご親戚やご近所の紹介でいらっしゃることが多いです。
新しく蟹江に越してこられた方は、ツテがないので、ホームページや看板を見てご相談に来られます。

どちらも蟹江で生活されている同じ住民です。
親しみやすさを大事にしつつ、専門家としての正確な仕事をお約束します。

司法書士尾張由晃のプロフィール詳細はこちら


まとめ:これだけ持ってきてくれれば話が早い

やることを期限ごとに整理すると、こうなります。

期限 やること
なるべく早く(7日・2週間以内) 死亡届・年金停止・健康保険・各種解約
3ヶ月以内 相続放棄するかどうかの判断(迷うなら期間伸長申立て)
4ヶ月以内 準確定申告(必要な場合)
10ヶ月以内 戸籍・財産調査・遺産分割協議・相続税申告(必要な場合)
3年以内 相続登記・生命保険金の請求
随時(期限なし) 銀行・株式・車・その他の名義変更

シビアなのは「3ヶ月」と「10ヶ月」の2つだけです。
それ以外はゆっくりでも大丈夫——とはいえ、後回しにしすぎると関係者が増えたり、書類の取り直しが発生したりします。
勘所だけ押さえて、一つずつ進めていきましょう。

初回のご相談は、これがあると話が早いです

持ってきてほしいもの 理由
固定資産税の課税明細書(または評価証明書) 不動産の評価額がわかると、登録免許税・報酬の概算がその場で出せます
不動産の所在がわかるもの 権利証・登記識別情報通知・名寄帳など。なければこちらで調査します

※印鑑証明書は、正式にご依頼いただく段階で必要になります。初回のご相談時は不要です。

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蟹江町で相続のことなら、蟹江町在住司法書士の私、尾張がすぐに対応いたします。


【執筆者】
司法書士尾張由晃 司法書士法人せと事務所代表
愛知県司法書士会 登録番号:第1981号
蟹江町在住、実務歴10年以上。同じ地元民として、単なる事務作業では
ない「生涯に寄り添うサポート」をお約束します。


参考:公的機関の一次情報
相続の放棄の申述(裁判所)
No.2022 準確定申告(国税庁)
No.4205 相続税の申告と納税(国税庁)
所有不動産記録証明制度(法務省)
預貯金口座付番制度(デジタル庁)
生命保険契約照会制度(生命保険協会)
相続登記の申請義務化(法務省)

最終更新日:2026年4月27日

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