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2026.04.19 その他

生命保険金と相続——遺産分割の対象になる?放棄したら受け取れない?

生命保険金と相続——遺産分割の対象になる?放棄したら受け取れない?

蟹江町でも遺産分割の相談をしていると、こんな場面がよくあります。

「財産の一覧に生命保険金も入れておいたんですが、これも分けるんですよね?」

「相続をおわりに。」司法書士の尾張です。

結論から言うと、生命保険金は原則として遺産分割協議の対象にはなりません。
受取人に指定された方の「固有の財産」であり、相続財産とは別物です。

ただし、「対象外だから関係ない」と割り切れるほど単純でもありません。
「他の兄弟に知られたくない」「均衡を取るために一緒に考えたい」——
現場では、こういった声が出てくることも少なくありません。

この記事では、生命保険金と相続の関係を整理します。


目次

  1. 生命保険金は「受取人固有の財産」
  2. 協議に「載せる・載せない」問題
  3. 相続税との関係——みなし相続財産と非課税枠
  4. 死亡退職金・弔慰金も近い扱い
  5. 相続放棄しても、生命保険金は受け取れる
  6. 受取人の指定が重要な理由
  7. まとめ

生命保険金は「受取人固有の財産」

生命保険金は、保険契約に基づいて受取人として指定された方に直接支払われるお金です。
亡くなった方(被保険者)の財産を引き継ぐのではなく、
受取人が契約上の権利として受け取るものです。

そのため、民法上の相続財産には含まれません。
遺産分割協議の対象とならず、他の相続人の同意なく受け取ることができます。

「相続財産ではない」という点は、後述する相続放棄とも深く関わります。


協議に「載せる・載せない」問題

遺産分割の場で、こんなやり取りになることがあります。

  • 「保険金をもらっている兄だけ得をしているから、その分を考慮して分けたい」
  • 「保険金はプライベートなことだから、協議書には載せたくない」

法律的には、生命保険金は遺産分割の対象外です。
載せても載せなくても、当事者が合意していれば問題ありません。

ただし、載せない場合にひとつ注意点があります。

相続税の申告が必要なケースでは、生命保険金は「みなし相続財産」として申告書に記載されます。
申告書を通じて、他の相続人や税務署に保険金の額が知られることになります。

「協議書には載せなかったのに、税申告でわかってしまった」——
後から揉める原因になることがあるため、事前に整理しておくことをおすすめします。

著しく不公平な場合は別の話

受取人が保険金を大量に受け取っており、他の相続人と著しく不公平な状況になっている場合、
最高裁判所(平成16年10月29日決定)は例外的に「特別受益に準じて考慮できる」と判断しています。

ただし、こうした状況はすでに相続人間の対立が深まっていることが多く、
弁護士に入ってもらって調整する場面になります。
「著しく不公平」と感じた時点で、早めにご相談ください。


相続税との関係——みなし相続財産と非課税枠

生命保険金は相続財産ではありませんが、相続税の計算では「みなし相続財産」として扱われます。

非課税枠として、500万円×法定相続人の数が設けられており、
この金額までは相続税がかかりません。

たとえば法定相続人が3人なら、1,500万円まで非課税です。

死亡保険金を活用した相続税対策の手段として使われることもあります。
ただし、個別の税額計算や申告については税理士の分野になりますので、
当事務所では提携税理士をご紹介しています。


死亡退職金・弔慰金も近い扱い

会社員や公務員が亡くなった場合に支払われる死亡退職金も、
生命保険金と同様に受取人固有の財産とされ、原則として遺産分割の対象にはなりません。
相続税の文脈では「みなし相続財産」として扱われ、非課税枠(500万円×法定相続人数)があります。

一方、弔慰金は性質がやや異なります。
原則として相続税はかからず、社会通念上相当な範囲では非課税として扱われます
(業務上の死亡なら賞与以外の普通給与3年分、業務外なら半年分が目安)。
ただし会社の規程によって死亡退職金と一体で支給されるケースもあり、
実務上は両者をまとめて扱うことが多いのが実情です。

節税対策として受け取り方を工夫したい場合は、税理士と連携してご対応します。


相続放棄しても、生命保険金は受け取れる

「相続放棄をすると、保険金も受け取れなくなるんですか?」

法律上の答えは、受け取れます。

相続放棄をしても、生命保険金は受取人の固有財産ですから、
放棄の対象にはなりません。

ただし、実務的な話をすると——
相続放棄を検討するような状況(借金が多い、財産がほとんどない)のご家庭では、
生命保険に加入していないか、すでに解約しているケースがほとんどです。
「法律上は受け取れる」と頭に入れておく知識として、捉えておいてください。

相続放棄の手続きについてはこちらの記事をご覧ください。


受取人の指定が重要な理由

生命保険金が受取人固有の財産になるのは、受取人がきちんと指定されているときの話です。

受取人が「法定相続人」「相続人」になっている場合

受取人欄に「法定相続人」「相続人」と書いてある保険契約は少なくありません。
この場合、誰がいくら受け取るかは保険会社の約款や規定によって決まります。
遺産分割協議で決めるものではありませんが、
受取人や割合について相続人間で認識の食い違いが起きやすい場面でもあります。
保険証券・約款を確認のうえ、保険会社に直接問い合わせることをおすすめします。

受取人が先に亡くなっていた場合

受取人として指定していた配偶者が、被保険者より先に亡くなっていた——
こういったケースでは、受取人の変更手続きがされていないと、
保険金の取り扱いが複雑になります。
保険会社によって対応が異なるため、契約内容の確認が必要です。

誰を受取人にするか

「配偶者か、子か」という受取人の選び方は、相続税の額にも影響します。
家族の構成・財産の状況によって最適な指定の仕方が変わりますので、
遺言書の作成や生前対策と合わせて検討することをおすすめします。


まとめ

  • 生命保険金は受取人固有の財産。遺産分割協議の対象にはならない
  • 協議に載せる・載せないは当事者の合意次第。ただし相続税申告で額が知られる可能性がある
  • 著しく不公平な場合は例外あり(最高裁平成16年)。その時点で揉め案件なので弁護士へ
  • 相続税ではみなし相続財産として扱われる。非課税枠は500万円×法定相続人数
  • 死亡退職金は同じ扱い。弔慰金は性質が異なるが実務上は近い扱い。節税対策は税理士と連携
  • 相続放棄しても、生命保険金は法律上は受け取れる
  • 受取人の指定は重要。先に亡くなっているケース・「法定相続人」指定のケースは要確認

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相続をおわりに。

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【執筆者】
司法書士尾張由晃 司法書士法人せと事務所代表
愛知県司法書士会 登録番号:第1981号
蟹江町在住、実務歴10年以上。同じ地元民として、単なる事務作業では
ない「生涯に寄り添うサポート」をお約束します。

司法書士尾張由晃のプロフィール詳細はこちら


参考:公的機関の一次情報
民法(e-Gov法令検索)
国税庁・死亡保険金(生命保険契約の死亡保険金)
国税庁・退職手当金等(死亡退職金)

最終更新日:2026年4月27日

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