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2026.05.08 その他

代襲相続とは——相続人が先に亡くなっていたとき、権利はどこへいく?

代襲相続とは——相続人が先に亡くなっていたとき、権利はどこへいく?

「父の相続手続きをお願いしたいんですが。相続人は母と兄弟2人です」

こういって相談に来られた方の戸籍を集めてみると、実は弟が父より先に亡くなっていた——というケースがあります。

「相続をおわりに。」司法書士の尾張です。

「相続人は誰々と誰々」とおっしゃっていても、戸籍を見るまでは確定しません。代襲相続が発生していると、相続人の顔ぶれも、手続きも、必要書類も、ぜんぶ変わります。

混同されやすい「数次相続」との違いも含めて、整理します。


目次

  1. 代襲相続とは——権利が「下へ落ちていく」制度
  2. 数次相続との違い——「先に死んでいた」か「後で死んだ」かで全部変わる
  3. 誰が代襲相続人になれるか——その限界も含めて
  4. 相続放棄した人の子は代襲できない
  5. 相続分はどうなる?
  6. 必要書類の違い
  7. まとめ

代襲相続とは——権利が「下へ落ちていく」制度

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が相続開始前(被相続人より先)に亡くなっていた場合に、その人の子(直系卑属)が代わりに相続する制度です。根拠は民法第887条第2項です。

民法第887条第2項
「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。」

「先に亡くなっていた→その子どもが代わりに入ってくる」制度です。イメージとしては、権利が上から「落ちてくる」感じです。

  • 祖父が亡くなった
  • 本来、子(父)が相続人になるはずだった
  • でも父は祖父より先に亡くなっていた
  • 父の子(孫)が代わりに相続人になる

「代わりに」というより「その位置に落ちてきた」という感覚が近いです。

私、尾張の事務所でも、こんなケースがありました。

「父の相続手続きをお願いしたい、相続人は母と兄弟2人です」とご相談に来られた方がいました。
戸籍を集めてみると、弟が父より先に亡くなっていたことが判明。弟の子ども(甥・姪)が相続人に加わることになり、ご相談者の方は「そうなの!?」とびっくりされていました。

感覚で「うちの相続人は家族3人」と思っていても、戸籍の中身を確認するまでは正確には言えません。「嫁に行った娘は相続人にならんでしょ」「配偶者がいれば全部その人のもんだろ」——そういった思い込みで来られる方も少なくありません。これが相続手続きの難しいところです。


数次相続との違い——「先に死んでいた」か「後で死んだ」かで全部変わる

代襲相続と似た言葉に「数次相続」があります。この2つは混同されやすいですが、まったく別の制度です。違いはシンプルで、「いつ死んだか」 だけです。

代襲相続 数次相続
いつ死んだか 相続開始より前に死亡 相続手続き完了前に死亡
代わりに相続するのは 直系卑属(子・孫など)のみ その人の法定相続人全員(配偶者も含む)
配偶者は関係するか しない する
相続の件数 1件 複数件

この違いが、実務上の大きな差を生みます。

代襲相続の場合——先に亡くなった相続人の「配偶者(嫁・婿)」は代襲しません。権利は直系の血族だけに落ちていきます。

数次相続の場合——相続人が「一度権利を取得してから死んだ」という扱いになります。そのため、その人の法定相続人——配偶者も含む——全員が相続関係に入ってきます。

例えば「父が亡くなったとき、弟は父より先に亡くなっていた」なら代襲相続。弟の配偶者(義妹)は関係なく、弟の子(甥・姪)だけが相続人になります。

「父が亡くなって手続き中に、相続人の弟が死んだ」なら数次相続。弟の配偶者(義妹)も含む弟の法定相続人全員が相続に関係してきます。

手続きの件数にも直結します。

代襲相続であれば、2人が亡くなっていても手続きは1件です。父の相続について、母・兄・甥姪が遺産分割協議を1回すれば終わります。

数次相続になると手続きは2件です。「父の遺産分割協議」と「後から死んだ弟の遺産分割協議」——それぞれ別々に行う必要があります。関わる人数も増え、協議の回数も増える。実務上は数次相続のほうが単純に2倍は大変です。

実務では、「この人は先に死んでいたのか、後で死んだのか」を戸籍で確認することが、最初の仕分けになります。

→ 数次相続の詳細は数次相続とは——「とっとと終わらせておけば家族の話だった」のにをご覧ください。


誰が代襲相続人になれるか——その限界も含めて

子が先に亡くなっていた場合——孫・ひ孫と何代でも落ちる

被相続人の子が先に亡くなっていた場合、孫が代襲相続人になります。孫も先に亡くなっていれば、ひ孫へ——と、直系卑属は何代でも代襲が続きます(再代襲、民法第887条3項)。

兄弟姉妹が相続人のケース——甥・姪まで、それ以上は落ちない

被相続人に子も親もいない場合、兄弟姉妹が相続人になります(第三順位)。兄弟姉妹が先に亡くなっていた場合も代襲相続は発生しますが、落ちるのは甥・姪(兄弟姉妹の子)までです(民法第889条2項)。

甥・姪が先に亡くなっていても、その子(被相続人からみてはとこ)へは落ちません。

子の場合(何代でも落ちる)と、兄弟姉妹の場合(甥姪まで)——ここは明確に違うので注意が必要です。

ちなみに「兄弟姉妹が相続人になるケース」には、もうひとつ独特のルールがあります。兄弟姉妹には遺留分がありません(民法第1042条)。子や配偶者が相続人の場合は、遺言で「全財産を誰かに」と書いても遺留分の請求をされることがありますが、兄弟姉妹が相続人の場合は遺言通りに分けられます。

代襲は甥姪まで・遺留分なし——「兄弟姉妹が相続人」というだけで、こんなに違う話が出てきます。同じ「相続」でも、誰が相続人になるかによってルールがまるごと変わる。そこが相続の面白くも難しいところです。


相続放棄した人の子は代襲できない

「相続放棄をしたら、代わりに自分の子に代襲相続が起きるの?」と思う方がいるかもしれません。答えはNoです。

代襲相続が発生するのは、相続人が「相続開始前に死亡していた」「相続欠格になった」「廃除された」場合に限られます(民法第887条2項)。相続放棄はここに含まれません。

相続放棄をすると「最初から相続人ではなかった」ものとみなされます。「いなかったことになる」ので、代わりに子どもが出てくる余地はありません。「自分は放棄して、子に継がせる」という使い方は法律上できないのです。

→ 相続放棄の詳細は相続放棄すべき?判断基準・3ヶ月の期限・手続きを解説をご覧ください。


相続分はどうなる?

代襲相続人は、被代襲者(先に亡くなった相続人)が受けるはずだった相続分をそのまま引き継ぎます(民法第901条)。代襲相続人が複数いる場合は、その中で頭割りします。

例えば、配偶者と子2人(長男・次男)が相続人になるはずだったケースで、次男が先に亡くなっていて、次男の子(孫)が2人いた場合——

  • 配偶者:1/2
  • 長男:1/4
  • 次男の子①(孫):1/8(次男の1/4を孫2人で等分)
  • 次男の子②(孫):1/8

次男が受けるはずだった1/4を、次男の子2人でそのまま分けます。

法定相続分の計算の詳細は法定相続人とは?範囲・順位・相続分をわかりやすく解説をご覧ください。


必要書類の違い

代襲相続が発生している場合、通常の相続手続きに加えて、被代襲者(先に亡くなった相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本が追加で必要になります。「その人が被相続人より先に亡くなっていた」という事実を戸籍で証明するためです。

代襲相続人自身の戸籍も必要です。関係者が増える分、収集する書類の通数も増えます。

自分のケースで何が必要かの詳細は相続登記に必要な書類一覧も参考にしてください。


まとめ

  • 代襲相続とは、相続人になるはずだった人が相続開始前に亡くなっていた場合に、その直系卑属が代わりに相続する制度
  • 数次相続との違いは「いつ死んだか」——先に死んでいたなら代襲相続、手続き完了前に死んだなら数次相続
  • 代襲相続は直系卑属のみ。先に亡くなった相続人の配偶者は代襲しない(数次相続とここが大きく違う)
  • 子が先に亡くなっていた場合は孫・ひ孫と何代でも代襲が続く
  • 兄弟姉妹の代では甥姪まで——その下へは落ちない
  • 相続放棄した人の子は代襲できない——「放棄して子に継がせる」は法律上できない
  • 相続分は被代襲者が受けるはずだった分をそのまま引き継ぐ(複数人いれば頭割り)
  • 書類は被代襲者の出生〜死亡の戸籍が追加で必要になる

「相続人は誰々のはず」と思っていても、戸籍を見るまで確定しません。誰が相続人になるかの判断こそが、手続きの出発点です。


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相続をおわりに。

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【執筆者】
司法書士尾張由晃 司法書士法人せと事務所代表
愛知県司法書士会 登録番号:第1981号
蟹江町在住、実務歴10年以上。同じ地元民として、単なる事務作業では
ない「生涯に寄り添うサポート」をお約束します。

司法書士尾張由晃のプロフィール詳細はこちら


参考:公的機関の一次情報
民法(代襲相続:第887条・第889条・第901条)(e-Gov法令検索)
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最終更新日:2026年5月8日

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