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2026.04.29 その他

相続登記って自分でできますか?——司法書士の本音はこうです

相続登記って自分でできますか?——司法書士の本音はこうです

「相続登記、自分でもできますか?」

蟹江町でも、こういったご相談をよくいただきます。

「相続をおわりに。」司法書士の尾張です。

正直にお伝えします。できます。
でも、「できてしまう」のが一番怖い——というのが私、尾張の本音です。

この記事では、自分で相続登記をやるリスク、実際にやる場合の手順、そして司法書士に頼むと何が変わるのかを、正直にお話しします。

→ 相続登記そのものの義務化・期限についてはまずこちらの記事をご覧ください。


目次

  1. 相続登記は自分でできます——でも本当の問題は手続きじゃない
  2. 「自分でやってしまった」2つの実例
  3. 法務局の登記相談——教えてもらえること・もらえないこと
  4. まず相談だけ来てください——その後の判断はあなたが決めます
  5. それでも自分でやる方へ——書類一覧と詰まりやすいケース
  6. 司法書士に依頼するメリット——最適な方法の提案から手続きまでまとめて
  7. まとめ

相続登記は自分でできます——でも本当の問題は手続きじゃない

相続登記は、相続人本人が申請できる手続きです。
司法書士でなければできない、という性質のものではありません。

戸籍を集めて、遺産分割協議書を作って、申請書を書いて、法務局に出す。
順番にやれば、確かに「できます」。法務局に相談に行けば、手続きも教えてくれます。

でも、ここに落とし穴があります。

手続きが「できる」ことと、「正しい判断ができる」ことは、まったく別の話です。

相続登記の本当の難しさは、どういう手続きを選ぶかの判断にあります。
手続きの内容がわかれば、時間をかければ誰でも進められます。
でも、どの手続きを選ぶべきかを間違えると、後から取り返しがつきません。


「自分でやってしまった」2つの実例

2つの実例をお話しします。
いずれも、ご自身で相続登記を進めた後に、当事務所にご連絡をいただいた案件です。

ケース1:協議の仕方を変えていれば、300万円の税金がかからなかった

被相続人が亡くなり、相続人は配偶者と子2人。
不動産は1軒の戸建て。配偶者が住み続けていました。

3,000万円で売却し、法定相続分通りに配偶者1,500万円・子2人に各750万円を分配しました。

結果、住んでいなかった子2人の取り分(合計1,500万円)に対して、
約2割・合計300万円の税金がかかりました。

実はこのケース、協議の進め方が違えば課税を避けられた可能性があります。

居住用財産には3,000万円の特別控除という制度があります。
住んでいた人が売却した場合、譲渡所得から3,000万円を差し引いて計算できる仕組みです(租税特別措置法第35条)。

つまり、配偶者に名義を集めて売却し、法定相続分相当額を代償金として子に渡す
という方法(代償分割)を取っていれば、3,000万円控除が効いて課税されない可能性が高かった。

実際の税額計算は税理士の領域ですが、当事務所では提携税理士と連携して、税金面まで含めた分け方の提案ができます。

この方は、不動産の売却のご依頼で来られました。登記はすでにご自身で済ませていたのです。
お話を伺っていくなかで「この分け方だと、売却で税金がかかってしまいます」とお伝えすることになりました。
——心が痛んだ案件です。

ケース2:誰もいらない山林を、兄弟で1/2ずつ名義を入れた

兄弟2人が相続した山林。
誰も使う予定がない、将来も使う見込みがない土地でした。

「誰もいらないから、平等に半分ずつ」と、
兄1/2・弟1/2の共有名義で相続登記をしました。

これが、後から大変なことになります。

将来、兄が亡くなれば、兄の持分1/2について兄の子どもたちが相続手続きをする必要があります。
弟が亡くなれば、弟の持分1/2について弟の子どもたちが手続きをする必要があります。

つまり、いらない不動産なのに、相続のたびに手続きが発生する——
それも兄家系・弟家系で別々に。

さらに、将来何らかの形で処分しようとしたとき(国庫帰属制度の利用など)、
兄の家族と弟の家族が全員で意思を合わせなければなりません。
超大変です。

→ いらない土地の処分制度については相続土地国庫帰属制度、相続が積み重なった場合については数次相続とはもあわせてご覧ください。

いらない不動産こそ、どちらか一方に名義を集めるべきだったのです。


法務局の登記相談——教えてもらえること・もらえないこと

自分で相続登記をやろうとしている方の多くは、法務局の登記相談を活用しながら進めています。
蟹江町の不動産であれば、名古屋法務局 津島支局です。

教えてもらえる:手続きの書き方

戸籍はどう揃えるか、協議書はどう書くか、申請書のどこに何を書くか——
こういった手続きについては、ちゃんと教えてもらえます。

ただし運用は、想像よりタイト

津島支局の登記相談は予約制・平日のみ。蟹江から車で30〜40分かかります。
そして、典型的にはこんな流れになります。

  • 1回目:必要書類の案内 「これとこれを揃えてきてください」で、その日は終わり。
  • 2回目:協議書・申請書の書き方の案内 揃えた書類を持って再訪。ただし「分け方が決まっていない」と、「決まってからまた来てください」で終了。
  • 3回目:自分で作った書類のチェック 間違いがあれば持ち帰って修正。
  • そしてようやく申請。 申請後に補正(修正の指示)が来たら、また平日に津島まで。

これを全部、平日昼間にこなします。

教えてもらえない:遺産分割の判断

「住み続けるのか、売るのか、残すのか」——それを前提にどう遺産分割するのが最適かという判断は、登記相談では教えてもらえません。

「どう分けたらいいですか?」と聞いても、
「ご家族で話し合ってください。判断が必要なら弁護士・司法書士にご相談ください」
と帰されます。

分け方を決めて持って行けば、その分け方が適切かどうかは判断せずに
それを実現するための手続きを教えてくれる。

だから、「登記できてしまう」のです。

ケース1もケース2も、登記相談を使えば手続きは滞りなく進んだはずです。
そもそもの判断が問題だった——ということに気づける機会が、なかっただけなのです。


まず相談だけ来てください——その後の判断はあなたが決めます

ここまで読んで「うちはどうなんだろう」と思った方へ。

初回相談は無料です。まず来てください。

来ていただければ、あなたのご家庭の状況を聞いた上で、
– どんなリスクがあるか
– どういう手続きの選択肢があるか
– 自分でやる場合にどれだけ大変か

これをわかる限りお伝えします。
その上で、自分でやるか、依頼するかを自由に決めてください。

話を聞いてから「やっぱり自分でやります」でも、もちろん構いません。


ただし、一点だけ正直に言わせてください。

「一部だけ頼む」は費用の節約になりません。

  • 分け方の判断だけしてもらって自分で進める
    → 判断の結果に責任を持てないため、お引き受けできません

  • 自分で作った協議書だけチェックしてもらう
    → 一から作る場合より確認の手間がかかるため、費用は安くなりません

  • 書類は自分で集めて、申請だけ頼む
    → 申請前にすべての内容を確認する必要があるため、費用は変わりません

任せるなら全部任せる。自分でやるなら全部自分でやる。

ケース1で言えば、依頼費用10〜15万円と、300万円の税金——
どちらを選ぶかは、相談の上でご自身が決めることです。

(→ 依頼した場合の費用の詳細はこちらをご覧ください)


それでも自分でやる方へ——書類一覧と詰まりやすいケース

ここまでで「やはり依頼しよう」と思った方は、次のセクションに飛んでいただいて構いません。
それでも「全部自分でやってみたい」という方のために、実際の書類と注意点をお伝えします。

集める書類と取得場所

書類 取得場所 ポイント
被相続人の出生〜死亡の戸籍・除籍謄本 各市区町村役場 本籍が複数あれば複数箇所に請求
相続人全員の戸籍謄本 各市区町村役場
相続人全員の印鑑証明書 各市区町村役場
被相続人の住民票除票 最後の住所地の市区町村役場
不動産取得者の住民票 市区町村役場
固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場 蟹江町の不動産であれば蟹江町役場
登記事項証明書 法務局またはオンライン
遺産分割協議書 自分で作成 相続人全員の実印が必要
相続登記申請書 自分で作成

→ 詳しくは相続登記に必要な書類一覧をご覧ください。

これらの書類は、基本的に平日昼間にしか取得できません。
お仕事をお持ちの方は、有給を使うか昼休みを活用するなど、工夫が必要になります。

なお、戸籍については令和6年3月から広域交付制度が始まり、最寄りの役場で他市区町村の戸籍も取れるようになりました(→ 詳しくは戸籍の集め方)。
ただし、広域交付の対象は本人・配偶者・直系尊属(父母・祖父母)・直系卑属(子・孫)の戸籍に限られ、兄弟姉妹や叔父叔母の戸籍は対象外です。代襲相続や数次相続が絡むケースでは、結局個別に取り寄せが必要になります。

詰まりやすいケース

特に、次のような場合は自分で進めるのが難しくなります。

  • 数次相続: 手続きを進めようとしている間に、相続人の誰かが亡くなっている。
    法的関係の整理から自分でやるのは、まずできません(→ 数次相続とは)。

  • 相続人が多い・遠方にいる: 全員の実印・印鑑証明書を集めるだけで何ヶ月もかかります。

  • 農地がある: 蟹江町は農地が多いエリアです。登記申請の書類は通常と変わりませんが、農地の処分には農地法上の制限があるため、将来を見越した分け方の判断がより重要になります。

  • 未登記建物がある: 古い建物・増築のある建物では、表題登記(建物の存在を最初に登記する手続き)から始める必要があります。土地家屋調査士の領域も絡んでくるため、自分だけで進めるのは現実的ではありません。

「うちは普通の戸建て1軒だけ」という単純なケースであれば、
時間をかければ自分で進められる可能性は十分あります。

ただ、一度立ち止まって考えてみてください。

書類を集めるための平日の時間、法務局への複数回の往復、協議書・申請書の作成——
それに加えて、手続きの選び方を間違えたときのリスクも、すべて自分が負います。

依頼費用の10〜15万円は、確かに安い金額ではありません。
でも、その費用は手間・時間・リスクを丸ごと肩代わりしてもらうことへの対価です。
自分の時間と労力を大切にするなら、一つの合理的な選択肢として検討してみてください。


司法書士に依頼するメリット——最適な方法の提案から手続きまでまとめて

司法書士に依頼すると、何が変わるのか。

まず、ご家庭の状況を全部聞かせてください。

不動産の居住状況・売却の予定・将来どうしたいか・相続人それぞれの気持ち——
それを踏まえた上で、「○○さんのご家庭であれば、こういう分け方がいいと思います」
という判断と提案をします。

売却を前提にするなら、税金面で有利な方法を。
誰かが住み続けるなら、その方の生活を守る分け方を。
「お父さんがこう言っていた気がする」「妹に少し多めに渡したい」という気持ちがあれば、それを最大限反映した形を。

教科書の答えではなく、そのご家庭の状況に合わせた判断です。
税金が絡む部分は提携税理士と連携します。

そして、分け方が固まったら——
書類収集の代行、協議書・申請書の作成、法務局とのやり取り、補正の対応まで、
全部まとめて引き受けます。

法務局の登記相談でお話しした「平日昼間に蟹江から津島まで何往復」という手間も、丸ごとなくなります。

費用は10〜15万円が目安。
判断と手続きの肩代わりが、まとめてセットです。

ご家庭の相続を、まるごと「おわり」にする——それが司法書士に依頼する価値だと、私、尾張は考えています。


まとめ

  • 相続登記は自分でできる。法務局で手続きを教えてもらいながら進めることもできる
  • でも「できてしまう」のが怖い——難しいのはどう手続きを選ぶかの判断
  • 判断を間違えると、税金が何百万円と変わったり、子の代まで手続きが残ったりする
  • 法務局で教えてもらえるのは「手続き」のみ。遺産分割の判断は教えてもらえない
  • 法務局の登記相談は予約制・平日のみ。蟹江から津島へ何度も平日に往復するのがリアル
  • 初回相談は無料。リスク・選択肢・大変さをすべてお伝えした上で、判断はご自身が決める
  • 任せるなら全部、自分でやるなら全部自分で——中途半端は費用の節約にならない
  • 依頼した場合は、判断も手続きも全部まとめて10〜15万円

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【執筆者】
司法書士尾張由晃 司法書士法人せと事務所代表
愛知県司法書士会 登録番号:第1981号
蟹江町在住、実務歴10年以上。同じ地元民として、単なる事務作業では
ない「生涯に寄り添うサポート」をお約束します。

司法書士尾張由晃のプロフィール詳細はこちら


参考:公的機関の一次情報
不動産登記法(e-Gov法令検索)
相続登記の申請義務化について(法務省)
マイホームを売ったときの特例(国税庁・タックスアンサーNo.3302)
租税特別措置法第35条(e-Gov法令検索)

最終更新日:2026年4月29日

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