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おわりのひとくちメモ おわりのひとくちメモ
2026.06.08 7.遺言

親に遺言を書いてほしい——言い出せない子が、まず読む記事

親に遺言を書いてほしい——言い出せない子が、まず読む記事

親に遺言を書いてほしい——言い出せない子が、まず読む記事

「お父さんに遺言書を書いてほしいんですが、なかなか言い出せなくて……私だけで先生のところに相談しに行ってもいいですか?」——年に何件か、こういうご相談をいただきます。

「相続をおわりに。」司法書士の尾張です。

実は「遺言の相談に来ました」という方のお話を聞いていくと、ご自身の遺言ではなく、「親が動いてくれない。このままだと、親の相続で揉める気がする」というお子さんからのご相談、というケースがとても多いんです。結論から言うと——相談自体はもちろん受けられます。でも、遺言書は親御さん本人の意思がなければ作れません。

この記事でわかること

  • 子だけで相談に行ってもいい?司法書士に何ができる?
  • 遺言書は、なぜ親本人にしか作れないの?
  • 「子の心配」と「親の本当の気持ち」はどう違う?
  • それでも子だけで来たら、何ができる?
  • 親に言い出せないとき、どうすればいい?

子だけで相談に来ても大丈夫——でも「できること・できないこと」がある

まず、お子さんだけで相談に来ていただくのは、まったく問題ありません。 当事務所でも、よくお受けしています。

そのうえで、できることとできないことを整理します。

できること:
– 今の状況をうかがって、「このまま親御さんの相続が起きたらどうなるか」を具体的に説明する
– たとえば相続人の一人が行方不明など、問題が見えているなら「放っておくとこうなる」「解決にはこういう手順が要る」と道筋を示す
– 遺言書・成年後見・家族信託など、取りうる手段の方向性を概説する

できないこと:
遺言書そのものを作ること。 これは親御さん本人がいないと、一歩も進みません。

お子さんに状況を説明すると、「じゃあ、それを親に伝えて相談してみます」とおっしゃる方がとても多いです。その気持ちはよく分かります。ただ、正直なところ——一度聞いた話を、正確に親御さんに伝えるのは、なかなか難しいのです。

たとえば、お子さんが持ち帰って説明したあと、親御さんから「それは、こういうことか?」と質問が返ってきたら。「じゃあ、また司法書士に聞いてみるわ」となって、伝言ゲームのように行ったり来たり。これでは、ぜんぜん前に進みません。 しかも、そうやって何度かやりとりしても、最後は親御さんご自身が「作る」と言わない限り、遺言書は作れないのです。

ですから当事務所では、できればご本人(親御さん)に来ていただくことをお勧めしています。

遺言書は、親本人にしか作れない——なぜ?

遺言は、自分の財産を、誰に、どう渡すかを決める——本人の最終意思そのものです。だから法律上、誰かが代わりに作ることはできません。子が代わりに、配偶者が代わりに、ということが認められていないのです(これを「一身専属的な行為」といいます)。

お子さんが間に立って、どれだけ段取りを整えても——最後に「作る」と意思を示すのは、親御さん本人でなければならない。ここが、どうしても動かせない一線です。

「子の心配」と「親の本当の気持ち」は、けっこう違う

さきほど「又聞きだと正確に伝わらない」とお話ししましたが、本人に来てほしい理由は、それだけではありません。そもそも、本人に聞いてみないと分からない事情が、本当に多いのです。お子さんが見ている景色と、親御さんの実際が、ずれていることがよくあります。

実際にあった2つのケースを挙げます(ご本人の許可の範囲で、ぼかして書きます)。

ケース①:現預金が十分あって、「揉める前提」が崩れていた

「うちの親は、ほとんど不動産で現金がほとんどないんです。実家には同居している私が、これからも住み続けたい。でも現金が無いから、いざというときにほかのきょうだいと分けられず、揉めそうで……だから親に、遺言を書いておいてほしくて」——そういうご相談でした。

ところが、親御さんご本人にお話をうかがってみると、実は、遺産分割で普通に分けられるくらいの現預金を、ちゃんと持っていらっしゃった。 親御さん自身は「うちは大丈夫だと思っとったよ」と。お子さんが把握していなかっただけで、“揉める前提”そのものが崩れていたわけです。

ケース②:「行方不明の子を、外したくない」という親の思い

相続人のお子さんの一人が、音信不通で行方不明。行方不明の人がいると、その人のハンコがもらえず、遺産分割協議そのものが止まってしまいます だから「親に遺言を書いておいてもらえば、協議をしなくても、残りのきょうだいで手続きを進められる」——相談に来られたお子さんは、そう考えていました。

でも、親御さんに直接お会いして話をうかがうと、こうおっしゃったんです。

「その子を外して遺言を書くいうのは、あの子がもう帰ってこん、いなくなってしもうたと、自分らで認めてしまうみたいで……書きたくないんよ」

お子さんは「問題だ」と思っていたことが、親御さんにとっては“まだ認めたくない我が子への思い”だった。これは、本人に聞かなければ絶対に出てこない気持ちです。

それでも、子だけで来てくれたら——できる「次の一歩」

「じゃあ、子が相談に行っても無駄なの?」というと、そんなことはありません。

初回はお子さんだけで来ていただいて、状況を整理する。そのうえで大事なのが、次の一歩——「親御さんと一緒に来る日をつくる」ことです。お子さんから親御さんに、「司法書士さんが詳しく教えてくれるで、いっぺん一緒に話だけ聞きに行こ」と声をかけてもらう。そんな形で、まったくかまいません。

目標は、ご本人を連れてきていただくこと。 一足飛びにいかなくても、まずはこの第一歩からで大丈夫です。

親に「言い出せない」あなたへ——思いに対して、対処法を出せます

最後に、一番のハードル。「本人に言い出すのが難しい」という問題です。

ここで一つ、お伝えしておきたいことがあります。司法書士は、親御さんの“思い”に対して、具体的な対処法を提案できるということです。

さきほどのケース②には、続きがあります。

「行方不明の子を外す遺言は書きたくない」とおっしゃった親御さんに、私、尾張はこうお伝えしました。

  • 遺言を作っておかないと、行方不明のお子さんのハンコが取れず、残りのお子さんの手続きが本当に大変になること
  • 遺言は後からいつでも書き直せること(→遺言書の撤回・変更
  • もしその子が帰ってきて連絡がついたら、相続人全員が納得すれば、遺言と違う分け方をすることもできること(→遺言書と違う内容で遺産分割はできる?
  • そもそもその子には遺留分があるので、遺言で外しても取り分が完全にゼロになるわけではないこと

すると親御さんは、「あぁ、それなら……やっとこか」と。そうして、遺言書を作ることになりました。

これは、親御さんの「思い」に、専門家が直接お答えできたから進んだ話です。お子さんが間に立って伝言していたら、たぶんここまで届かなかった。だからこそ、遺言を作るご本人と、直接お話しさせていただけると、本当に助かるのです。

それでも切り出しにくければ、健康診断くらいの気持ちで大丈夫です。

「相続のことで、なんか問題あるか分からんで、いっぺん専門家に話だけ聞きに行こまい」

——このくらいの軽さで、親御さんを誘ってみてください。「悪いところを探しに行く」のではなく、「問題がないか診てもらいに行く」感覚です。

そして、健康診断と同じで、早めが肝心です。遺言は、親御さんが元気で、しっかり判断できるうちにしか作れません(遺言には判断能力が必要だからです。民法第963条)。「いつかそのうち」と思っているうちに、作れなくなってしまうこともあります。

まとめ

  • 子だけで相談に来てもOK。状況説明や手段の整理はできる
  • ただし遺言書は親本人にしか作れない(代理できない一身専属の行為)。しかも作る時に判断能力が必要なので、元気なうちが勝負(民法963条)
  • 子の心配と、親の本当の気持ちはしばしば違う(現預金で前提が崩れた/行方不明の子を外したくない)
  • だから、できれば親御さん本人を連れてきてほしい。初回は子だけ→次は本人と、でもOK
  • 親が渋っても、その思いに専門家が対処法を出せることが多い。健康診断のつもりで、まず話だけでも

親御さんがしっかりしているうちに動けるかどうかで、その後がまるで変わります。「言い出せない」で止まっているなら、まずはお子さんだけでも、私、尾張に話しに来てください。


相続をおわりに。

「うちの場合はどうなんだろう?」と思ったら、まずはお気軽にご相談ください。

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近鉄蟹江駅・JR蟹江駅からもお越しいただけます。蟹江町で相続のことなら、蟹江町在住司法書士の私、尾張がすぐに対応いたします。


【執筆者】
司法書士尾張由晃 司法書士法人せと事務所代表
愛知県司法書士会 登録番号:第1981号
蟹江町在住、実務歴10年以上。同じ地元民として、単なる事務作業では
ない「生涯に寄り添うサポート」をお約束します。

参考リンク

最終更新日:2026年6月8日

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