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2026.04.08 その他

遺言書の撤回・変更——「書いた後で変えたい」と思ったときに読む記事

遺言書の撤回・変更——「書いた後で変えたい」と思ったときに読む記事

「一度遺言書を作ったら、もう変えられないですよね?」

「相続をおわりに。」司法書士の尾張です。

いいえ、変えられます。何度でも。

遺言書は、書いた本人が生きている間であれば、いつでも自由に撤回・変更できます(民法第1022条)。
理由は問いません。「気が変わった」それだけで十分です。

遺言書を作ることをためらう方の中に、「一度書いたら縛られる」と思っている方がいます。
そんなことはありません。遺言書は、亡くなるその日まで書き直せる書類です。

→ 遺言書の種類と特徴はこちらの記事をご覧ください。


目次

  1. 遺言はいつでも撤回・変更できる
  2. 撤回・変更の4つの方法
  3. 公正証書遺言を変更するには
  4. 書き直しが必要なのはどんなとき
  5. こんなとき変更を検討してほしい
  6. まとめ

遺言はいつでも撤回・変更できる

民法第1022条は、こう定めています。

民法第1022条
「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」

「遺言の方式に従って」という点がポイントです。
口頭で「やっぱりなしにしたい」と言っても撤回にはなりません。
遺言書という形式で行う必要があります。

逆に言えば、形式さえ守れば何度でも変更できます。
10回書き直しても、最終的に有効なのは最後に書いたものです。


撤回・変更の4つの方法

①「前の遺言を撤回する」と明記した遺言書を作る

最も確実な撤回方法です。

新しい遺言書の中に「令和○年○月○日に作成した遺言書は、これを撤回する」と明記します。
公正証書遺言であれば、この文言を入れた上で新しい公正証書遺言を作るのが実務上の一般的なやり方です。

②抵触する内容の遺言書を作る

後に作った遺言書の内容が前の遺言書と抵触する場合、
抵触する部分だけが撤回されたとみなされます(民法第1023条第1項)。

ここで注意してほしいのが「抵触しない部分は有効なまま残る」という点です。

たとえば、前の遺言書に「預貯金は妻に、不動産は長男に」と書いており、
新しい遺言書に「預貯金は長男に」とだけ書いた場合——
「不動産は長男に」という前の遺言書の部分は生きたままです。

どれとどれが有効なのか、判断が難しくなります。
そのうえ、複数の遺言書が出てきたとき、亡くなった後に残された家族が混乱します。

古い遺言書は全部捨てるのが基本です。
前の遺言書が残っていると、どちらが有効かという争いの原因になります。

③遺言書を破棄する

自筆証書遺言の場合、遺言書を故意に破棄すると、
破棄した部分については撤回したとみなされます(民法第1024条)。

ただし、一つ大きな注意点があります。

最新の遺言書を捨てると、ひとつ前の遺言書が有効になります。

「やっぱり直前に書いたものはなかったことにしよう」と最新のものだけを破棄すると、
それより前に書いた遺言書が生きてしまいます。

撤回するつもりで遺言書を破棄するなら、手元にある遺言書を全部処分してください。

④遺贈した財産を生前に処分する

遺言書で「この不動産を長男に遺贈する」と書いていても、
その後にその不動産を生前に売却・贈与した場合
遺言書で遺贈した部分は撤回したとみなされます(民法第1023条第2項)。

財産がなくなれば、その部分の遺言書は効力を失う、ということです。


公正証書遺言を変更するには

公正証書遺言を変更する場合、新たな公正証書遺言を作り直すことになります。

公証役場に出向いて、もう一度公証人に作成してもらう必要があるため、
改めて費用と手間がかかります。

このとき、新しい遺言書に「令和○年○月○日に作成した遺言書は、これを無効とする」
という文言を入れるのが実務上の一般的なやり方です。
抵触する部分だけでなく、前の遺言書の全体を明示的に無効にすることで、
「どちらが有効か」という問題を防ぎます。

「公正証書遺言を、自筆証書遺言で撤回することはできますか?」

法律上はできます(民法第1022条)。
しかし、自筆証書遺言には検認が必要であること・紛失リスクがあることなど、
自筆証書遺言が持つリスクがそのまま生じます。
費用はかかりますが、公正証書遺言は公正証書遺言で撤回するのが安心です。

→ 自筆証書遺言のリスクはこちらの記事で詳しく解説しています。


書き直しが必要なのはどんなとき

遺言書を作ったプロが「想定の範囲内」として設計していれば、
多少の変化が起きても書き直しは不要なことがあります。

たとえば、「財産を渡したい相手が先に亡くなっていた場合はどうするか」を
あらかじめ遺言書に書いておく「予備的遺言」がその典型です(→こちら)。

問題になるのは、その変化が想定されていなかった場合です。

「前婚の子には渡さない」という前提で書いた遺言書のある方が、
その後前婚の子と和解して関係が変わった。
「長男に全財産」と書いた後に次男が生まれた。

こういった変化は、いくら予備的遺言があっても対応できません。
状況が大きく変わったときは、書き直しを検討してください。


こんなとき変更を検討してほしい

以下のような変化があった場合、遺言書の内容を見直すことをおすすめします。

  • 気が変わった——それだけで十分な理由です
  • 家族が増えた——子が生まれた、養子縁組をした
  • 離婚・再婚した——家族関係が変わった
  • 財産を渡したい相手が先に亡くなった——予備的遺言がなければ書き直しが必要
  • 相続人が認知症になった・障害を負った——手続き上の問題が生じる可能性がある
  • 財産が大きく変わった——不動産を売った、新たに購入した、預貯金が大幅に増減した

「書いた当時と状況が変わっているけど、どうすればいいかわからない」
そういうご相談もよく受けます。まずは一度見直してみてください。


まとめ

  • 遺言書はいつでも・何度でも撤回・変更できる(民法第1022条)。気が変わっただけでOK
  • 撤回の方法は4つ:①明記して新しい遺言を作る②抵触する遺言を作る③破棄する④財産を生前に処分する
  • ②③は古い遺言書が残ると有効のままになるリスクあり。古いものは全部処分を
  • 公正証書遺言の変更は新たな公正証書で。「○年○月○日付は無効とする」の文言を入れる
  • 状況が大きく変わったら書き直しを検討。迷ったらまずご相談を

相続をおわりに。

「うちの場合はどうなんだろう?」と思ったら、まずはお気軽にご相談ください。

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蟹江町で相続のことなら、蟹江町在住司法書士の私、尾張がすぐに対応いたします。


【執筆者】
司法書士尾張由晃 司法書士法人せと事務所代表
愛知県司法書士会 登録番号:第1981号
蟹江町在住、実務歴10年以上。同じ地元民として、単なる事務作業では
ない「生涯に寄り添うサポート」をお約束します。

司法書士尾張由晃のプロフィール詳細はこちら


参考:公的機関の一次情報
民法第1022条〜1024条(e-Gov法令検索)

最終更新日:2026年4月27日

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