漫画で見るような面白おかしい激ウマ料理は存在した件について
お正月に帰省した際、高校の同級生にバッタリ会った。
俺が知っている彼は坊主でいがぐりみたいなヤンチャな野球部員だったんだけれど聞くと、高校卒業してからは料理の道に進んでフランスで修行とかして今はレストランで料理長をやっているらしい。
何だそれはおもしろいと思い、ちょっとした祝いの席があったので食べに行ってきたらなんだかもう物凄くて驚いた。
漫画みたいなへんてこりんなおもしろ料理が出てきてそれが信じられないくらい美味い。
こんなことがあるのかという衝撃と、これを知り合いが考えたという不思議さ、時の流れによる人の変化の面白さ。それぞれになんとも貴重な体験をしたと思うのでご報告したいと思うのです。
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・不思議な入店
フェースブックのメッセンジャーで件の同級生に連絡して予約をお願いする。「らじゃ!」とか返ってきて、お手軽に予約完了。
どんな感じなのかな~?と思いながらフワーッと向かったら、お店の前に店員さんが立っていてお店入る前から「ご予約ですか?」とか聞かれちゃう様な敷居の高い店だった。
やばい、フェースブックでしか言ってないんだけど大丈夫か!?これ、マジで!?って不安になったけど「尾張様、お待ちしておりました」とか言われて安心した。
安心というか不思議だった、ヤツが料理長をしている店がこんなにお上品なこととフェースブックの「らじゃ!」という予約でこんな丁重なおもてなしを受けるのかと。なんというか意識や記憶と現状が噛み合ってない感じで非現実っぽい感じだ。
・おちょくられているのかもしれない
店に入ると、オープンなキッチンの中で同級生が働いている。手を上げると振り返して来た。一応知り合いではあるようだ。
不思議に思いながらも適当にドリンクを頼んで料理を待つ。料理は全て知り合いにお任せ。彼はどんなものを作るんだろうと待っていたら出てきたのがこれ。
これ、スーパーマリオUSAに出てくるカブやん
観葉植物がレストランのテーブルの上にスプーンを添えて現れた。
なんだこれ、えっ、なにっ?ふざけてるな?同級生だと思って遊びにかかってるな!?俺の戸惑いを見て「プーックスクス!見たー?あの表情!」とか言おうとしてるだろ。
と、思ったけれどもウェイターさんは「ラデュッシュの~~でございます、チーズクリームが敷いており、上にはカリカリにローストしたパン粉を…」とかガチで説明してくれている。
えっ、マジなの?これ、マジでこういう料理なの!?
不安に思いながらも食べると美味い。超美味い。
シャキッと甘いラディッシュとねっとり濃厚なのにさっぱりとしたクリームが合わさって旨味ッ!ってなっている所に上の土がカリカリする。美味い、マジで美味い。
なにこれ、なんなんだ、登場のインパクトとほんとに食べていいのか、からの美味さの完成度の高さがオカシイ。ジェットコースターのような振り回され感。
一体、これはなんだったんだ…。と、思いながらメニューブックを見ると「Amuse シェフからご挨拶の一品」と書いてあり「Amuse」という単語の意味を調べてみると「〈人を〉おもしろがらせる,楽します,笑わせる」ということだった。
俺のこのリアクション(面白がり方)は想定内!?ヤツの手の内の中で踊らされてるッ!!!!!!!!
・なんかすごくて意味の分からない料理が出てくる
なんかオシャレぶりやがって、という印象の料理。
なんなんだ、と思っていると次の料理が運ばれてくる。なんかホタテのなんとか。周りに添えられているいくらみたいなのはオリーブオイルのゼリー。ってところしか聞いてなかった。
ホタテ好き!って思いながら食べると真ん中のホタテ状の形の立体はホタテのプリンみたいな存在で、えっ、ホタテの食感が…、と思っていたら添えられていたホワイトアスパラがホタテの旨味と風味をまとってコンチワーッス!みたいな感じで現れてシャキッ!!っと美味い。
ホタテやらウニやらオリーブオイルやらソースやらの旨味がすごい、うまみうまみうまみうまみ~!って攻めてきたのがホワイトアスパラの食感+生ハムの塩っけで、ガッツーン!!!と来る。
洒落てるだけでねぇ、この美味さ、計算されてる…!って震える美味さ。
なんなのか全くわからない食べ物。
続いて出てきたのは汁と、粉。出てきた時点でなんなのか全くわからない。
なになに?次は何?って正座したい気持ちで説明を待っていると、左の汁はインゲンのスープで、右のスプーンの粉はフォアグラの粉らしい。
フォアグラの粉!?すごい、聞いても全然わかんない!
そのまま食べてもいいし、スープに混ぜても美味いぞ!とのこと。
そのまま食べられんの?と思って口を付けたら、粉はすごく冷たくて体温に触れた部分から雪のように溶けていく…。そして押し寄せてくる美味さ。全く体験したことのない体験で、全然わかんなくて笑えてくる美味さ。おもしろいぞこれ。
そして言われたようにスープに混ぜるとメチャクチャ濃厚になって、もうビックリするほど美味い。ただでさえコクがあって美味いのに、なんかそんなもんじゃない。すっごい。
もはや写真だけでは何かわからぬ
はー、もう、なにー、もう何出されてもわかんないよー。
って感じになっちゃってる中、次に出てきたのは鯛。これが鯛。鯛の鱗を落とさずに表面だけ油で揚げるようにして鱗を衣のようにしちゃったという料理。
あっ、それ知ってる!それ、漫画の中華一番で読んだことある!みんなが頑張って料理する中、主人公だ魚に油をかけ続けてて、なにやってんだアイツ?ってなってたけど、結局食べたら「表面がカリカリで中身はホックホク、旨味が全く逃げてなくてめちゃウマ~~」ってなったやつだ。
って思いながら食べたら、表面がカリカリで中身はホックホク、旨味が全く逃げてなくてめちゃウマ~~!!!ってなってしまった。
ネタで漫画レシピを再現しているような人はたまにいるけれど、まさかこんなところで出会うとは思いもせなんだ。
どうじゃ、見ただけで美味いと分かるじゃろう。
次にメインは牛のステーキ。美味い。もう説明不要に美味い。
そして最後は発泡スチロールを食べておしまい。
美味しいお店ならば他にも行ったことがあるんだけれど、こんなにエンターテイメントに富んだ美味しいお店は今まで経験したことが無かった。
それがまさか同級生の店だとは。ヤツが「フォアグラを粉にしたら美味いんじゃない?」とか考えているのかと思うと意味がわからない。
同じ学校に通って、同じ授業を受けていたヤツがこんな料理をつくるようになったかと思えば、自分は司法書士になっていたりする。最近、知り合いに会うたびに知る、聞く変化が凄く楽しい、面白い。
今、彼と初対面で知り合っているとただ単にすごいシェフなんだな。と思うだけだが、昔を、変化を知っている分、凄いことに敬意を抱く。
みんな色々な方向向いていたんだけれど、30過ぎてその向いていた距離に対して進んだ距離が分かりやすくなっていて鈍感な俺でも気づける様になっていて大人って本当にいいなぁ、楽しいなぁとつくづく思う。これからもっともっと選んだものが分かりやすくなると思うと楽しみでしょうがない。頑張ろうと思う。
ちなみに、このレストランは名古屋のお店です。ランチもやってるし、結婚式が本業らしいよ。皆様どうぞ宜しくお願いします。
http://the-opera.jp/restaurant/index.html